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返品の仕訳とは?売上戻り・仕入戻しの勘定科目からEC実務の仕訳例まで解説

2025/12/26
EC・通販・ネットショップ

返品が発生したとき、どの勘定科目で返品の仕訳を切ればいいか迷うEC事業者は多くいます。売上戻り・仕入戻しの基本からクレカ返金・適格返還請求書(返還インボイス)対応まで、数値付き仕訳表でわかりやすく整理しました。

まずは結論!返品・返金で使う勘定科目が一目でわかる比較表

返品・返金で使う勘定科目の早見表。売上戻り(販売側)と仕入戻し(仕入側)を借方・貸方で対比

返品の仕訳で使う勘定科目は、「誰が返品を受けたか」で使う勘定科目が180度変わります。 販売側(売上を取り消す)なら「売上戻り」、仕入側(仕入れを取り消す)なら「仕入戻し」。

立場借方金額貸方金額
販売側(売上を取り消す)売上戻り××売掛金 / 普通預金××
仕入側(仕入れを取り消す)買掛金 / 普通預金××仕入戻し××
消費税(税抜経理・販売側)仮受消費税××(売上戻りと連動)××
消費税(税抜経理・仕入側)(仕入戻しと連動)××仮払消費税××

「売上戻り」と「仕入戻し」は互いに対になる概念で、取引関係の中で自社がどちらの立場かを最初に確認することが、仕訳ミスを防ぐ出発点になります。

EC事業で返品が起こる5つの主な理由と会計処理の重要性

EC事業で返品が起こる5つの主な理由。顧客都合・不良品破損・誤発送・長期不在受取拒否・クーリングオフ

ECでは返品理由によって、送料の負担者や仕訳の処理方法が変わるのが特徴です。

返品の原因を正確に把握しておくと、後述するケース別仕訳での判断も迷いなく進められます。代表的な5つの理由を確認しておきましょう。

1. 顧客都合による返品

イメージ違い・サイズ不一致・気が変わったなど、顧客の事情による返品です。

返品送料は顧客負担とするECが多く、仕訳上は売上戻りで対応します。返品ポリシーに明記した条件と照らし合わせて処理するのが基本。返品ポリシーの整備については「返品ポリシー完全ガイド|法的義務から売上UP戦略まで」でも詳しく解説しています。

2. 商品の不良・破損による返品

出荷済みの商品が不良品・破損だった場合は、自社都合の返品として送料も含め自社負担となるケースが多いです。

売上戻りに加え、荷造運賃(送料)の追加仕訳が必要になる場合もあります。廃棄が確定した商品は「商品廃棄損」として別途処理します。

3. 誤発送による返品

注文内容と異なる商品を発送してしまったケースです。返品送料は自社負担が原則で、正しい商品の再発送にかかる費用も追加コストとして計上が必要になります。

誤発送は会計処理だけでなく在庫管理のズレにも直結するため、システムとの突合で早期発見できる体制を整えておきましょう。

4. 長期不在・受取拒否による返品

宅配の不在や受取拒否で商品が戻ってきたケースです。売上を認識していた場合は売上戻りで取り消し、戻り運賃の負担がある場合は荷造運賃に計上します。

未発送で売上未計上の場合、仕訳自体は不要です。ただし在庫戻しの処理は欠かせません。

5. クーリングオフによる返品

通信販売に原則クーリングオフはありませんが、自社ポリシーで設定する場合もあります。特商法の詳細については「返品の法律って何?EC事業者のための返品トラブル解決ガイド」を参考にしてください。

仕訳は売上戻りで処理します。通信販売では返品特約がなければ、特商法の法定返品権により商品受領日から8日以内が返品受付の期限。返金対応は速やかに行いましょう。

【2大パターン】返品の会計処理「売上戻り」と「仕入戻し」を徹底解説

返品仕訳の基本となる逆仕訳の3ステップ。元の仕訳を確認・借方貸方を入替・動いた金額のみ仕訳

返品の仕訳を理解する最大のコツは、「前提の仕訳を考えてから逆に起こす(逆仕訳)」という発想です。もとの仕訳を裏返すだけ、というシンプルな原則に慣れると、どのケースでも応用できます。

各勘定科目の基本を整理した後、詳しい業務フローについては「返品処理とは? ECサイトの業務フローから返品率を削減する5つの秘訣まで徹底解説」もあわせてご覧ください。

売上戻りの仕訳

売上戻り(うりあげもどり)とは、一度計上した売上を取り消す勘定科目です。もとの仕訳の借方・貸方を入れ替える「逆仕訳」で処理します。

①元の仕訳:掛け販売(10,000円税込)はこちら。

借方金額貸方金額
売掛金10,000売上10,000

②全額返品の逆仕訳:借方と貸方をそっくり入れ替えます。

借方金額貸方金額
売上戻り10,000売掛金10,000

③部分返品(5,000円分のみ)の場合は次のとおり。

借方金額貸方金額
売上戻り5,000売掛金5,000

動いた金額だけを仕訳するのが部分返品の原則で、全額を取り消して再計上する必要はありません。

仕入戻しの仕訳

仕入戻し(しいれもどし)とは、一度計上した仕入を取り消す際に使う勘定科目です。仕入側の立場で返品するときに使います。

仕入1冊3,000円(税込)の商品を掛けで仕入れ、不良品のため返品した場合:

借方金額貸方金額
買掛金3,000仕入戻し3,000

会計ソフトの棚卸方法は三分法(日常処理が簡単・決算時に棚卸計算)と売上原価対立法(期中に原価計算・決算処理が楽)の2種類。月次で原価管理したい場合は売上原価対立法が向きます。

出典:国税庁|No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の消費税額の調整 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6359.htm

【5つのケース別】EC実務で役立つ返品・返金の仕訳例

EC実務の返品仕訳5ケース。クレジットカード返金・代金引換・送料手数料の負担分岐・決算期またぎ・ポイントクーポン

EC実務では「クレジットカード決済で返品された」「送料の負担が自社か顧客かで変わる」など、基本の仕訳に加えて判断が必要なケースが出てきます。5つのシーンに絞って数値例で確認していきましょう。

クレジットカード返品の仕訳

クレジットカード決済で販売した商品が返品された場合、売上の取り消しに加えてカード会社への通知も忘れずに行いましょう。

元の売上仕訳(税抜・10,000円 消費税1,000円 合計11,000円):

借方金額貸方金額
クレジット売掛金11,000売上10,000
仮受消費税1,000

返品時の逆仕訳:

借方金額貸方金額
売上戻り10,000クレジット売掛金11,000
仮受消費税1,000

カード会社への返金は入金と相殺で処理し、クレジット売掛金残高をゼロにします。

代金引換返品の仕訳

代引きで受け取り済みの代金は、現金または銀行振込で返金するのが一般的です。

借方金額貸方金額
売上戻り10,000現金 / 普通預金11,000
仮受消費税1,000

代引手数料(通常は顧客負担)については別途の精算が必要なため、領収書等の証憑と突合して処理します。

送料・手数料の仕訳(自社都合 vs 顧客都合)

返品送料は負担者によって計上先が変わります。送料の負担ルールについては「返品送料はどっちが負担?法律の基本から売上UPに繋げる3つの戦略までECのプロが解説」も参考にしてください。

自社都合(不良品・誤発送)の場合:

借方金額貸方金額
売上戻り10,000売掛金10,000
荷造運賃(送料)700現金 / 普通預金700
仮払消費税70

顧客都合の場合:顧客が送料を負担するため、返品分の売上戻りのみ計上。自社に追加の送料仕訳は発生しません。

決算期をまたぐ返品の仕訳

前期に計上した売上が翌期に返品されても、計上するのは当期の売上戻り。前期の損益を遡及修正する必要はありません。

借方金額貸方金額
売上戻り10,000普通預金(返金)11,000
仮受消費税1,000

ただし決算期をまたぐ返品が多い場合は、翌期の損益に重大な影響が出る可能性があるため、予め会計担当者と認識を合わせておくのがポイントになります。

ポイント・クーポン利用時の返品仕訳

1,000円クーポンを適用した10,000円商品(支払い9,000円)を返品した場合:

借方金額貸方金額
売上戻り10,000普通預金(返金)9,000
売上戻り(クーポン分)1,000

上記はあくまで処理の一例です。クーポン値引き分の仕訳は会計ソフトの仕様や自社ルールによって複数の方法があり、唯一の正解があるわけではありません。採用する処理は顧問税理士に確認のうえ、一貫した方法をとることが税務調査対策にもつながります。ポイントを自社発行している場合は、ポイント引当金の処理も別途押さえておきましょう。

出典:国税庁|No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の消費税額の調整 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6359.htm

返品処理で会計担当者が注意すべきポイント

返品処理で会計担当者が注意すべき5つのポイント。消費税・適格返還請求書・軽減税率の混在・在庫管理連動・収益認識会計基準

基本の仕訳を押さえた後は、消費税・インボイス制度・在庫管理・収益認識基準という4つの論点で見落としがないか確認しましょう。

① 消費税の処理(税込経理 vs 税抜経理)

返品時の消費税処理は、経理方式によって仕訳が変わります。

税抜経理(推奨)の場合:本体と消費税を分けて仕訳します。売上戻りの際は仮受消費税を借方に計上して税額調整。

税込経理の場合:消費税込みで一本仕訳します。申告時に税額を別途算出する手間が生じる点は把握しておきましょう。

どちらの方式でも、返品が発生した課税期間内に仕訳を切ることが原則。税率区分は元の取引時点のものを適用します。

② 適格返還請求書(返還インボイス)と1万円未満特例

2023年10月以降、売上側は返品時に「適格返還請求書(返還インボイス)」の発行が欠かせません。記載事項は登録番号・返品対象の取引内容・税率別の返還金額と消費税額です。

ただし1万円未満の返還については交付が不要(1万円未満特例)という例外があります。少額返品が多いECでは、この特例を活用することで事務負担を大幅に軽減できます。

出典:国税庁|No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の消費税額の調整 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6359.htm

③ 軽減税率8%×標準税率10%が混在する返品処理

食品ECなど軽減税率対象商品を扱う場合、1回の受注に8%商品と10%商品が混在することがあります。

返品時は「元の税率区分ごとに分けて仕訳する」のが原則です。8%分の売上戻りと10%分の売上戻りを合算して処理すると、消費税の申告で誤りが生じるため要注意です。

商品税率本体消費税合計
食品A8%5,0004005,400
日用品B10%3,0003003,300

それぞれの税率で仕入税額控除の対象が変わるため、会計ソフト上でも税率区分を分けて登録するのを押さえておきましょう。

出典:国税庁|軽減税率制度の概要 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6100.htm

④ 在庫管理との連動(再販可能品 vs 廃棄品)

返品された商品の処理は、状態によって仕訳先が変わります。

再販可能な状態の場合:仕入戻しで棚卸資産に戻します。在庫システムでの数量戻しも同時に行うのを忘れずに。

廃棄が必要な場合:売上戻り処理後に「商品廃棄損」として費用計上します。

借方金額貸方金額
商品廃棄損2,000商品(棚卸資産)2,000

廃棄品の処理は税務調査での証跡が求められるため、廃棄日時・廃棄理由・数量を記録した廃棄証明書を保管するのがおすすめです。

⑤ 収益認識会計基準と返金負債・返品資産(返品調整引当金の廃止)

2021年4月施行の収益認識会計基準(企業会計基準第29号)では、返品予測がある場合に「返金負債(返金見込み額)」と「返品資産(回収見込みの在庫)」を計上する仕組みに切り替わりました。

従来の返品調整引当金は出版・医薬品・化粧品業など特定業種向けの制度でした。平成30年度税制改正で廃止され、損金算入限度額を毎年10分の1ずつ縮小する経過措置を経て、2030年3月で終了します。

出典:企業会計基準委員会(ASBJ)|企業会計基準第29号「収益の認識に関する会計基準」 https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2020/2020-0331.html

個人事業主・フリーランスが返品を受けたときの仕訳(青色申告での対応)

個人事業主と法人の返品仕訳の違い。勘定科目は同じで、個人事業主は青色申告決算書の売上欄に純額を記載

個人事業主でEC事業を営む場合も、返品の仕訳の考え方は法人と基本的に同じです。ただし、青色申告決算書への記載方法や会計ソフトの設定で注意すべき点があります。

法人との違いと青色申告決算書への記載

個人事業主の売上戻りは、青色申告決算書の「売上(収入)金額」から直接控除する形で記録します。法人税申告書と異なり、専用の「売上戻り」欄はなく、売上の純額(売上高から返品分を差し引いた金額)を記載するのが一般的です。記載方法は申告様式の改定や会計ソフトの仕様で変わる場合があるため、最新の青色申告決算書の記載要領や顧問税理士の指示を確認してから記入してください。

年間の返品金額が大きい場合は、摘要欄に「返品対応分」と明記して証跡を残しましょう。返品のタイミングと売上計上年度が一致しているかどうかも、申告前に必ずチェックします。

会計ソフトでの返品処理

freeeやマネーフォワードなど個人事業主向けの会計ソフトでは、返品を「売上のマイナス」として登録すれば自動的に仕訳が生成される仕組み。

ソフト上の操作は「売上の修正」「返金として登録」など表現が異なりますが、いずれも最終的に売上戻り(売上のマイナス計上)になります。消費税の課税区分が正しく設定されているか確認してから登録しましょう。

返品・値引き・割戻しの違いと仕訳の使い分け

返品・値引き・割戻しの違い。商品が動くかどうかで使う勘定科目を判断する3列比較

「返品」「値引き」「割戻し(わりもどし)」は似ているようで、会計上の処理が異なります。最大の判断基準は「商品が動くかどうか」です。

区分商品の動き使う勘定科目
返品商品が戻ってくる売上戻り / 仕入戻し不良品を返送してもらう
値引き商品は動かない売上値引き / 仕入値引き傷物のため単価を下げる
割戻し(リベート)商品は動かない売上割戻し / 仕入割戻し年間購入量達成で後払いリベート

商品が実際に手元に戻るかどうかで判断すると、勘定科目の選択に迷いがなくなります。

値引きは「商品はそのまま・金額だけ調整する」ケースで、小売現場での傷物値引きが代表例です。割戻しは達成リベートなど期末にまとめて精算するケースに多く、仕訳は年度末や精算時点で切ります。

出典:国税庁|No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の消費税額の調整 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6359.htm

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返品の仕訳についてよくある質問

Q1. 売上戻りと仕入戻しの違いは何ですか?どちらを使えばいいですか?

A. 立場の違いで使い分けます。自社が商品を販売して返品を受け取るなら「売上戻り」、仕入先へ返品するなら「仕入戻し」。同じ返品でも、取引のどちら側に自社がいるかで勘定科目が変わります。ECサイト運営者が顧客から返品を受けるケースは売上戻り、仕入先へ不良品を返送するケースは仕入戻しが対応科目です。

Q2. クレジットカード決済で返品された場合の仕訳はどうしますか?

A. カード会社経由の返金処理と売上戻りの2段階で対応します。まず売上戻りで売上を取り消し、消費税は逆仕訳で調整。カード会社への返金通知後、実際の返金確定時にクレジット売掛金を消し込みます。税抜経理の場合は仮受消費税も戻すことを忘れずに対応しましょう。

Q3. 返品時に適格返還請求書(返還インボイス)の発行は必ず必要ですか?

A. 1万円未満の返還については発行が不要です(1万円未満特例)。1万円以上の返品については、インボイス登録事業者であれば適格返還請求書の発行が欠かせません。記載事項は登録番号・返品対象の取引内容・税率別の返還金額と消費税額など。発行義務を怠ると相手先の仕入税額控除に影響が出る場合があります。

出典:国税庁|No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の消費税額の調整 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6359.htm

Q4. 決算をまたいで返品が来た場合、どの年度の処理になりますか?

A. 返品が確定した期(当期)に売上戻りを計上します。前期の売上を遡及修正する必要はなく、当期の費用(売上のマイナス)として処理します。ただし、金額が大きい場合は決算書の注記や税務申告書への影響を顧問税理士と確認するのがおすすめ。決算期をまたぐ返品が多い業種では、翌期の損益見通しにあらかじめ織り込んでおきましょう。

Q5. 個人事業主が返品を受けたとき、法人と処理方法は同じですか?

A. 基本的な考え方(逆仕訳・売上戻り)は同じですが、申告書類の記載方法が異なります。個人事業主は青色申告決算書の売上欄に返品控除後の純額を記載します。法人のように「売上戻り」の専用欄はなく、売上の純額として一本化して記載するのが一般的です。使用する会計ソフトの仕様を確認してから登録しましょう。

まとめ:返品の仕訳

返品の仕訳の核心は「前提の仕訳を考えてから逆に起こす(逆仕訳)」という発想です。販売側は売上戻り、仕入側は仕入戻しで対応し、消費税・適格返還請求書・在庫管理の3点を確認することで処理ミスを防げます。返品件数が増えるほど手動対応の負荷と誤仕訳のリスクが高まるため、返品フローの自動化も検討してみましょう。

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