ソーシャルログインとは、LINEやFacebook、Googleなどの外部サービスのアカウント情報を使ってWebサービスにログインする機能です。ユーザーの利便性向上だけでなく、事業者にとってもコンバージョン率の改善やセキュリティ強化など多くのメリットがあります。一方で、連携するSNSごとの特性や仕様変更への対応など、導入時には注意すべき点もあります。本記事では、ソーシャルログインの仕組みやメリット、デメリット、導入・実装方法について詳しく解説します。
ソーシャルログインとは、LINE、Apple、Yahoo! JAPAN、Facebook、Twitter、Googleなどの普段使い慣れているアカウント情報を利用して、Webサイトやアプリにログインできる便利な機能のことを指します。
この機能を導入することで、ログインや会員登録の手続きが簡単かつ安全に行えるようになります。その結果、登録フォームからの離脱率を下げ、新規会員登録率を上げることができ、コンバージョン率や再訪率、リピート率の向上にもつながります。
従来のWebサービスでは、会員登録の際に新たにIDとパスワードを設定しなければなりませんでした。しかし、ソーシャルログインに対応したWebサービスであれば、普段から使い慣れているSNSや外部サービスのアカウント情報を使って、スムーズにログインすることが可能です。
個々のサービスごとに必要だった面倒な会員登録の手間が省けるだけでなく、新しいIDやパスワードを覚える必要もなくなります。数多くのWebサイトやサービスが存在する中で、ユーザーは手間をかけずに気軽に利用できるサービスを選ぶ傾向が強まっています。そのため、「情報入力の手間が省けるサイト」であるという点は、大きな強みになるでしょう。
ソーシャルログインのメカニズム
ソーシャルログインの多くは、国際的に標準化された「OAuth(オーオース) 2.0」や「OpenID Connect」といったプロトコル(通信手順・データ形式)を用いて実装されています。
ソーシャルログインの一連の流れは、ユーザーが利用したいWebサービスのサイトやアプリ上に設けられた「〇〇〇(SNS名)でログイン」などのボタンをクリックすることから始まります。
ボタンがクリックされると、Webサービスは「OAuth 2.0」などのプロトコルに従って、選択されたSNSの認可サーバーに連携を要求します。認可サーバーはこの要求を受信すると、画面上にSNS情報の利用を許可するかどうかの確認画面を表示します。
ユーザーがこれを承認すると、認可サーバーからWebサービスにアクセストークン(OpenID ConnectではIDトークン)が発行され、ログイン処理が完了します。
ソーシャルログインには、Webサービスを利用するユーザー側と提供する事業者側の両方にとって多くのメリットがあります。ここでは、それぞれの立場から、ソーシャルログインの導入によってどのような課題が解決できるのかを説明します。
「カゴ落ち」とは、ユーザーが欲しい商品をショッピングカート(カゴ)に入れたにもかかわらず、決済まで進まずに購入を断念してしまうことを指します。様々な原因が考えられますが、決済フォームの複雑さや会員登録の手間なども大きな要因の一つとなっています。
一方、ソーシャルログインを利用すれば、事前にSNSに登録した住所などの情報がフォームに自動入力されるため(※連携するSNSによって入力される情報は大きく異なります)、安心感を含めた購買までのユーザー体験が飛躍的に向上し、コンバージョンにつながります。
また、ソーシャルログインと決済サービスを連携させたサービスも登場しています。ユーザーは慣れ親しんだアカウントで安心感を得ながら、クレジットカード番号の入力や決済手段の登録などの手間を省略できるようになります。
SNSとの連携により、利用者のリピート率を高めることが可能です。連携先のSNSプラットフォームによって提供される情報は様々ですが、ソーシャルログインを実装したWebサービスでは、ユーザーの名前、Eメールアドレス、電話番号、住所といった個人情報を入手することができるのです。
前述したフォームへの自動入力はこの機能を活用したものですが、このように収集した情報は、サービス利用者の入力の手間を省くだけでなく、サービス提供者のCRM(顧客関係管理)にも役立てることができます。
取得した情報を基にしたメッセージやメールのセグメント配信、ステップ配信など、ユーザーの特性に合わせた継続的なアプローチを行うことで、Webサービスのリピート率やLTV(顧客生涯価値)の向上を図ることが可能です。
Webサービス提供者にとって、ユーザーIDやパスワードに関するセキュリティの確保は悩ましい課題です。
しかし、ソーシャルログインを導入することで、SNS側が提供する二段階認証や多要素認証などの堅牢なセキュリティの恩恵を直接受けることができます。
さらに、Webサービス側でソーシャルログインを利用しているユーザーのパスワードなどを保管する必要がないため、不正ログインを目的としたリスト攻撃のリスクを軽減できます。
ソーシャルログインを実装する際、SNSプラットフォームによっては、Webサービスの運営企業のアカウントをフォローするよう利用者に働きかけることが可能です。この機能はID連携と呼ばれ、ユーザーとの関係性を強化するのに役立ちます。
これにより、近年、世界的に厳しい目が向けられているサードパーティークッキー(3rd party cookie)を使用せずに、効率的なユーザーアプローチが実現します。
これに電子クーポンやデジタル会員証などの施策を組み合わせることで、オンライン(ECサイト)とオフライン(実店舗)を融合した接客、顧客体験の向上、いわゆる「OMO(Online Merges with Offline)」を推進することができるでしょう。
ソーシャルログインは非常に便利な機能である一方で、注意して扱わないとトラブルにつながる危険性もあります。
SNSとの連携を通じたソーシャルログイン機能では、提携するソーシャルメディアプラットフォームごとに、入手可能なユーザーの個人情報の種類や範囲が大きく変わってきます。
また、利用するユーザーの属性にも傾向があるため、ソーシャルログイン導入時には、これらの点を考慮し、自社のWebサービスに最適なSNSを選択することが重要です。
以下に、代表的なSNSの特徴とソーシャルログインで提供される個人情報についてまとめました。
| SNS | 特徴 | 提供される個人情報 |
| LINE | 国内全年代で圧倒的な利用者数を誇り、住所など取得できる情報も多岐にわたる(ただし、ユーザーがあらかじめ情報を登録しておく必要あり)。友だち機能でユーザーを自社アカウントと連携可能など、デジタルマーケティングを推進したい企業に魅力的。 | 氏名、メールアドレス、電話番号、住所、生年月日、性別など |
| 取得できる情報は少ないが、APIでのソーシャルログイン機能追加が容易なため、個人情報を必要としないサービスに適している。複数アカウントを簡単に所有できるため、デジタルマーケティングの効率化には工夫が必要。 | ユーザー名、メールアドレスなど | |
| 原則実名登録という希有な特性を備えたSNS。ソーシャルログイン時に固有のIDを取得でき、リターゲティング広告に活用可能。ECサイトなどのデジタルマーケティングに絶大な効果を発揮。 | 氏名、メールアドレス、生年月日、性別など | |
| Apple | SNSではないが、iCloudやApp Store、iTunes Storeなどで利用しているApple IDにもソーシャルログイン機能(Appleでサインイン)が用意されている。二段階認証(2ファクタ認証)による高いセキュリティ性に加え、iPhoneからの利用時にはFace ID(顔認証)やTouch ID(指紋認証)を使ったログインが可能。 | 氏名、メールアドレスなど |
| Googleが提供するWebブラウザのGoogle Chromeは、日本でブラウザシェア1位(2021年11月現在)。ユーザーの多くは、多様なWebサービスとの連携に慣れている。PCでの利用率が特に高いため、PCからのアクセスを増やしたい場合に効果的。 | 氏名、メールアドレス、性別、生年月日など | |
| Yahoo! JAPAN | インターネットの初期段階からサービスを展開しているため、利用者の年齢層は比較的高め。また、同じグループ企業内にショッピングサービスが存在することから、正しい個人情報を登録しているユーザーが多い。ECで必須の住所や電話番号、メールアドレスなどを有しているのが大きなメリット。 | 氏名、メールアドレス、住所、電話番号、性別、生年月日など |
| Apple | SNSではないが、iCloudやApp Store、iTunes Storeなどで利用しているApple IDにもソーシャルログイン機能(Appleでサインイン)が用意されている。二段階認証(2ファクタ認証)による高いセキュリティ性に加え、iPhoneからの利用時にはFace ID(顔認証)やTouch ID(指紋認証)を使ったログインが可能。 | 氏名、メールアドレスなど |
ソーシャルログイン機能は、SNSの仕様変更や方針変更の影響を大きく受けます。これまで取得できていた情報が取得できなくなるケースや、仕様変更に伴いWebサイトやアプリの改修が必要となり、メンテナンスコストが発生するケースもあります。
ソーシャルログインを適切に運用するためには、各SNSが提供するソーシャルログイン機能の最新情報を常にキャッチアップし続けることが不可欠です。特にセキュリティに関するインシデントには細心の注意が求められます。
例えば、普段と異なる地域や端末からのアクセスを検知した際に追加の認証を求めるリスクベース認証を機能させ、不正アクセスへの対策を講じる必要があります。
不正アクセス対策機能を含めた導入およびメンテナンスコストの実態についても把握しておくことが重要です。
ソーシャルログインの導入・実装方法には、大きく分けて2つの方法があります。
1. 各SNSプロバイダに合わせて、個別にスクラッチでAPIの開発を行う
2. 外部サービス(ASP)を活用する
SNSプロバイダが提供するAPIを活用し、公開されたドキュメンテーションを参照することで、ソーシャルログイン機能そのものを独自に開発することができます。ただし、自社で独自開発する際は次の点に留意しなければなりません。
ソーシャルログインの導入・実装において、「会員登録やログインさえできれば十分」という考え方は適切ではありません。これが、ソーシャルログイン機能の実装が難しい点なのです。初期開発はもとより、導入後の継続的な保守や、複数のSNSとの連携に対応するためのコストを十分に考慮しておくことが重要です。
ソーシャルログインは会員機能と密接に関わる部分なので、最新の仕様やメンテナンスに日々気を配りながら、都度適切な対応を行わないと重大な機会損失につながってしまいます。結果として、日常的なメンテナンスにばかり追われ、本質的なサービスの機能開発に手が回らない…といった事態にもなりかねません。
ソーシャルログインを個別にスクラッチで開発する際の課題である仕様変更への対応や、複数のSNSプロバイダへの対応負荷は、ソーシャルPLUSのような外部サービス(ASP)を利用することで解消できる場合が多いです。外部サービスを利用する具体的なメリットとして以下が挙げられます。
実際に、当初はソーシャルログインを自社開発で実装していたものの、メンテナンスが追いつかずソーシャルPLUSに移行したというケースも増加しています。
ソーシャルログインは、ユーザーにとっては利便性が高く、事業者にとってはコンバージョン率の向上やセキュリティ強化、CRMの実施など多くのメリットがあります。
一方で、連携するSNSごとの特性や仕様変更への対応、専門的な知識の必要性など、導入時には注意すべき点もあります。
ソーシャルログインの実装方法は、個別にスクラッチで開発する方法と、外部サービス(ASP)を活用する方法の2つがあります。
特に後者は、複数のSNSへの対応や導入後のメンテナンスコストを削減できるなど、多くのメリットがあります。自社サービスに適したSNSを選択し、導入後の運用も見据えた上で、適切な方法でソーシャルログインを導入することが重要です。
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