ECサイト運営で避けては通れないのが「返品対応」です。「仕訳はどう処理すべき?」「返金時の勘定科目は?」と悩む担当者も多いでしょう。
返品処理は単なる返金作業ではなく、正確な会計処理と在庫管理が求められる重要な業務です。この記事では、基礎知識から具体的な仕訳、業務効率化のコツまでを徹底解説します。

返品時の会計処理で迷わないコツは、「誰が、何を返したか」を整理することです。基本的に、販売した商品が戻れば「売上」を取り消し、仕入れた商品を返せば「仕入」を取り消す処理を行います。
ECの実務で頻出する仕訳パターンは以下の通りです。
| ケース | 概要 | 借方(左側) | 貸方(右側) |
| 売上戻り | 顧客からの返品 | 売上 | 売掛金/現金 |
| 仕入戻し | 仕入先への返品 | 買掛金/現金 | 仕入 |
実務では、当初計上した仕訳の「逆仕訳(反対の処理)」を行うのが基本ルールです。返品は売上や利益に直結するため、正確に記録しないと決算書の数値が狂ってしまいます。 経理上は「売上戻り」などの勘定科目を使う場合と、直接減額する場合がありますが、自社ルールに合わせて統一した処理を行いましょう。

返品理由を正しく把握することは、適切な会計処理を行うだけでなく、サービス改善や返品率の低下につなげるためにも非常に重要です。
主な理由は以下の5つです。
それぞれ解説していきます。
「画面で見た色と違う」「サイズが合わない」といった、EC特有の理由がこれにあたります。商品自体に欠陥はないため、再販可能な状態であれば在庫に戻す処理が必要です。
再販できるか否かで、在庫評価の処理が変わる点には注意しましょう。
返送料をどちらが負担するかは、事前の「返品ポリシー」に基づいて処理されます。
配送中の事故や検品ミスにより、商品が壊れているケースです。これは「自社都合」の返品となり、企業の信頼に関わる重大な問題といえます。
会計処理と同時に、不良品を廃棄するのか、修理して販売するのかによって在庫の扱いを決めましょう。
もし廃棄処分にする場合は、返品された商品を「商品廃棄損」などで費用計上する必要があります。
注文と異なる商品を送ってしまうヒューマンエラーです。正しい商品との交換処理が発生するため、一度売上を取り消して立て直すなど、複雑な処理になりがちです。
在庫管理システム上も、誤出荷分の戻りと正しい商品の出庫を正確に行いましょう。
ここの処理を怠ると、実在庫と帳簿が合わなくなってしまいます。
発送したものの、顧客が受け取れずに戻ってくるケースです。売上は成立していないため取り消し処理を行いますが、往復送料や梱包費などのコストは既に発生しています。
実務上、これらの費用は「販売諸掛」や「通信費」などで処理されることが多いです。 コストを顧客に請求するか、自社で損失とするかは、利用規約や方針に従いましょう。
通常、通信販売にクーリングオフ義務はありませんが、ショップ独自に返品特約を設けている場合はそれに従います。法的なルールや自社の特約に基づき、返品を受け付けた日付で会計処理を行いましょう。
特に決算期前後の返品は、売上の計上時期に関わるため日付管理が重要です。
制度を正しく明示しておくことで、トラブルを未然に防げます。

返品の会計処理には、大きく分けて「売上戻り」と「仕入戻し」の2つのパターンがあります。それぞれの立場で処理が真逆になるため、混同しないように整理しましょう。
それぞれ解説していきます。
販売した商品が戻ってきた際、計上していた売上を取り消す処理を「売上戻り」と呼びます。最も一般的なのは、販売時の仕訳を左右逆にする「逆仕訳」を行う方法です。
例えば、掛け売上の商品が返品された場合、借方に「売上」、貸方に「売掛金」を記入して相殺します。 管理上「売上戻り」という科目を使うこともありますが、実務では直接売上を減らす処理が多く用いられます。
自社が仕入れた商品に不良などがあり、送り返す場合は「仕入戻し」となります。こちらも仕入時の逆仕訳を行って取引を取り消します。
借方に「買掛金」、貸方に「仕入」を記入し、支払う義務と費用を減少させましょう。 「仕入値引」と混同しやすいですが、仕入戻しは「モノが動く(返品する)」のに対し、値引は「価格だけ安くしてもらう」という違いがあります。

EC運営の実務では、決済方法や手数料、ポイント利用などが絡み合い、仕訳が複雑になることがあります。ここでは、よくある5つの具体的なケースを見ていきましょう。
それぞれ解説していきます。
カード決済で販売した商品がキャンセルになった場合、現金のやり取りは発生しません。後日カード会社経由で返金されるため、販売時に計上した「売掛金」を取り消す処理を行います。具体的には、借方に「売上」、貸方に「売掛金」と仕訳します。
カード会社の締め日を過ぎてからの返金だと、一度入金されてから相殺されることもあるため、明細の確認を忘れずに行いましょう。
代引きですでに代金を受け取った後に返品が発生した場合、顧客の銀行口座へ返金するのが一般的です。この場合、現預金が減少する仕訳を切ります。
借方に「売上」、貸方に「普通預金」などを記入しましょう。 返金の際の振込手数料を自社が負担する場合は、手数料分を「支払手数料」として別途経費計上します。お金の動きと連動させて漏れなく記録することが大切です。
返品には「商品を戻す送料」と「返金の振込手数料」が発生します。自社都合(不良品)なら自社負担となり、「荷造運賃」や「通信費」で費用計上します。
一方、顧客都合で顧客が送料を負担(元払い)する場合、自社の会計処理には送料は出てきません。ただし、着払いで届いて送料を立て替えた場合は「立替金」として処理し、後で返金額から差し引くなどの調整が必要です。
「前期に販売した商品が、当期になって返品された」という場合、原則として「返品を受け入れた日」の属する事業年度の損失として処理します。
仕訳は通常通りですが、前期の売掛金が回収済みの場合は「未払金」などを立てて返金処理を行いましょう。税務調査でもチェックされやすいポイントなので、日付の記録は正確に残す必要があります。
ポイント等を使って安く購入された商品が返品された場合、返金するのは「実際に支払われた金額」のみです。使用されたポイントは、規約に従って返還または失効させます。
仕訳時は、売上の取り消しと同時に、ポイント分の負債(引当金など)を元に戻す処理が必要です。 システム連携がうまくいっていないとズレが生じやすいため注意しましょう。

返品処理は単に仕訳を逆にするだけではありません。経理担当者が押さえておくべき重要なポイントが3つあります。
それぞれ解説していきます。
返品時の金額には消費税が含まれています。自社が「税込経理」か「税抜経理」かによって仕訳が変わるため注意が必要です。
税抜経理の場合、本体価格と消費税額を分けて処理します。売上時に預かった消費税を確実に取り消さないと、納税額の計算が合わなくなってしまいます。 会計ソフトなら自動設定されることが多いですが、手入力の際は特に気を付けましょう。
会計上のお金の計算と、倉庫でのモノの管理はセットで行わなければなりません。返品された商品が「良品」として再販できるか、それとも「不良品」として廃棄するかで資産価値が変わるからです。
再販できない場合は、単に在庫を戻すのではなく「棚卸資産評価損」や「廃棄損」として費用計上します。 ここが連動していないと、決算時の棚卸で大きな差異が発生する原因になります。
上場企業などを対象に、新しい収益認識基準が適用されています。これにより、返品が見込まれる商品については、最初から売上計上せず「返金負債」とする処理が原則となりました。
販売時に返品予想額を売上から控除し、原価分を「返品資産」として計上します。 中小企業では従来の処理も認められていますが、将来的なルール変更に備えて知識を持っておくことが重要です。
EC事業が成長するにつれて、返品対応の負担は増すばかりです。「対応が遅れてクレームになる」「在庫の戻し忘れが起きる」といった課題を解決するのが、自動化ツールの導入です。
それぞれ解説していきます。
「返品くん」のようなシステムを導入すれば、返品受付から在庫への反映、返金処理までを一元管理できます。
これまでメールや電話で行っていた個別対応を自動化することで、スタッフの作業時間を劇的に削減可能です。
顧客がシステム上で申請すれば、ポリシーに基づいた可否判定が自動で行われます。 ヒューマンエラーを防ぎ、会計システムとの連携で経理担当者の負担も軽くなります。
返品対応は重要な業務ですが、利益を直接生み出す「攻め」の業務ではありません。自動化によってバックオフィス業務を効率化できれば、空いた時間を販促企画や商品開発といった「コア業務」に充てることができます。迅速な対応は顧客満足度を高め、リピーター獲得にもつながります。 面倒な作業をシステムに任せ、少人数でも売上規模を拡大できる体制を整えましょう。
3. まずは資料請求から!返品業務の課題を解決します
「返品業務をなんとかしたいけれど、システム導入は難しそう…」とお考えの方も、まずは情報収集から始めてみませんか?「返品くん」は、EC事業者の返品課題に特化したソリューションです。多くのECサイトで導入され、業務時間の削減と顧客満足度の向上を実現しています。具体的な機能や導入事例を知りたい方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。

返品対応や仕訳について、現場でよく聞かれる疑問をQ&A形式でまとめました。判断に迷ったときの参考にしてください。
それぞれ解説していきます。
破損や汚れで売り物にならない場合、通常の「仕入」に戻すだけでは在庫価値が誤って記録されてしまいます。
この場合は、「商品廃棄損」や「棚卸資産評価損」といった勘定科目を使って費用処理しましょう。 資産(商品)を減らし、同額を損失として計上することで正しい利益が計算できます。廃棄証明書などを残しておくと税務調査の際にも安心です。
継続取引がある顧客の場合、現金を返金せずに「次回の請求から差し引く」ことで合意するケースがあります。この場合、返金すべき金額を「前受金(または預り金)」として処理しておきます。仕訳は、借方に「売上」、貸方に「前受金」です。次回の商品販売時に、この前受金を取り崩して売上に充当しましょう。 お金の動きがない場合でも適切に管理できます。
Q3. 個人事業主の場合も同じ仕訳で問題ない?
個人事業主であっても、基本的な複式簿記の考え方は法人と同じです。売上があれば「売上」、返品があればその逆仕訳を行ってください。家事按分などは個人特有ですが、返品に関しては「売上戻り」「仕入戻し」の考え方で処理して問題ありません。青色申告決算書には、返品分を差し引いた純額で記載するのが一般的です。
返品処理は複数の部署が関わるためミスが起きやすい業務です。以下のようなチェックリストを作成し、確認を徹底しましょう。
これらを都度確認することで、計上漏れや在庫ズレを防げます。
海外の会計ソフトや越境ECを行っている場合、英語での勘定科目を知っておくと便利です。
「Allowances」は値引きを含んだ表現です。グローバル展開する事業者なら覚えておくとスムーズでしょう。
返品処理は、EC事業において避けては通れない業務です。正確な仕訳(売上戻り・仕入戻し)を行うことは、正しい決算書を作るためだけでなく、自社の在庫状況や損失を把握するためにも欠かせません。
煩雑になりがちな返品対応をシステム化することは、顧客満足度を高め、スタッフがより生産的な業務に集中するための鍵となります。正しい会計知識を持ち、効率的なツールを活用して、盤石なEC運営体制を築いていきましょう。

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返品くん導入後は、返品くん経由での問い合わせが全体7割となり自動化と返品・交換の省力化が 進み、CS体制4名から1名に。
3名はお問い合わせ業務ではなく、売上や顧客ケアをするアウトリーチ(攻めるCS)に従事して円滑なEC運営を実現しています。
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