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BtoB EC構築で悩む前に知りたい4つの手法とそのメリット・デメリット

2024/7/2
EC・通販・ネットショップ課題

BtoB-ECサイトの構築を検討する際、どの手法を選ぶべきか悩むことがあるでしょう。ASP、パッケージEC、クラウドEC、フルスクラッチの4つの手法がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。自社の要件や予算に合わせて、最適な構築手法を選択することが重要です。本記事では、各手法の特徴や費用感、注意点などを詳しく解説します。BtoB-ECサイトの構築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

BtoB EC(BtoB コマース)とは何か?

まずは、「BtoB EC(BtoB コマース)」という言葉の意味について確認しましょう。BtoBとは、「Business to Business(企業間取引)」を簡略化した表現であり、「B2B」と表記されることもあります。

一方、ECは「Electronic Commerce(電子商取引)」の頭文字を取ったもので、インターネットを通じて商品やサービスを売買することを指します。

インターネット上で商品購入ができるWEBサイトは、「ECサイト」や「eコマースサイト」、「ネットショップ」、「通販サイト」などと呼ばれています。

つまり、「BtoB」と「EC(eコマース)」が合わさった「BtoB EC(BtoB コマース)」とは、企業間の取引をインターネットやECサイトを通じて行うこと、またはそのためのシステムを意味します。従来はBtoC(企業対消費者間取引)が主流でしたが、近年ではBtoB ECを活用して販路拡大や売上向上、業務の効率化を図る企業が増えています。

BtoB ECにおける取引形態

BtoB ECでの取引は、主に「BtoB ECサイト」と「EDI」の2種類の形態があります。

BtoB ECサイトの特徴

BtoB ECサイトを構築するシステムには、単なる受発注対応の「受発注システム」だけでなく、マーケティング機能を備えたものもあります。これにより、BtoC取引のように新規顧客の獲得や売上アップを実現することが可能です。

EDIの特徴

EDI(Electronic Data Interchange)は、企業間のデータ交換を目的とした仕組みです。企業間で決められたルールや回線に合わせて受発注のやり取りを行うため、一定数の固定取引がある場合に業務効率化を図ることができます。しかし、取引先と互換性のある通信システムの選定や、企業ごとに異なる画面仕様など、BtoB ECサイトと比べると柔軟性や拡張性に劣ります。

BtoB-ECとBtoC-ECの相違点

ECは電子商取引を指しますが、その基盤となっているのは現実の相対取引であるため、BtoBならではの商習慣がECにも反映されています。BtoCとは異なる点は多岐にわたりますが、ここでは、BtoB-ECサイトに特化したシステム機能の特徴的な差異をいくつか取り上げて説明します。

価格設定の管理

取引の規模や契約内容によっては、同一商品であっても顧客企業ごとに販売価格が変動するケースがあります。

そのため、BtoB-ECサイトには顧客別に価格表示を調整できる機能が求められます。

従来のECサイトは一物一価を前提としていましたが、BtoB専用のECサイト構築パッケージ「Bカート」などでは、一物多価での管理が可能になっています。

決済方法の管理

一般消費者向けECサイトではカード決済、コンビニ支払い、代引きなどが主要な支払い方法ですが、企業間取引では後払いや銀行送金も頻繁に使用されます。

ただし、掛け売りの利用は取引量や与信状況により限定されることがあります。BtoB-ECサイトでは、取引先ごとに利用可能な決済方法を設定する機能が求められます。

販売対象の管理

従来のECサイトでは、掲載商品は全ユーザーが閲覧・購入できるのが一般的です。一方、BtoBでは特定の取引先向けの商品や、主要顧客のみに限定販売する商品なども存在します。

加えて、取扱いに資格が必要な品目、使用許諾に基づく製品の販売、特定企業向けのOEM商品など、多様な流通形態が考えられます。

BtoB-ECサイトには、顧客企業ごとに異なる商品ラインナップを表示・販売できる仕組みが求められています。

これにより、OEM商品を特定の取引先のみに限定して販売するなど、様々な販売ルートに柔軟に対応することができるようになります。BtoB-ECサイトでは、取引先によって異なる商品の掲載・販売設定が可能な機能が必要とされています。

BtoB-ECの導入におけるメリットとデメリット

BtoB-ECの導入に際しては、既存の受発注フローや処理方法の見直しが不可欠です。従来の電話での注文受付や手動での伝票作成から、Webを介した直接の受発注システムへのデータ入力へと変更されます。業務フローが大きく変わるため、業務の見直しと再構築が必要になります。

それでは、BtoB-EC導入によるメリットと、同時に生じ得るデメリットについて見ていきましょう。

BtoB-ECの3つのメリット

業務負担の軽減

従来のFAXや電話での受発注では、在庫問い合わせ、納期回答、手入力での受注処理、発注書の管理、請求業務など、膨大な工数が発生します。ECの導入により、これらの受発注業務の工数を大幅に削減できます。

商品情報や在庫状況はECサイトで確認でき、受注データは顧客側で入力されるため、問い合わせ対応の負担が軽減されます。また、受注情報はデータで保管されるため、過去の照会も容易になります。

ヒューマンエラーとコストの削減

従来の業務では、電話での聞き間違いや手入力での誤入力などのエラーが発生しやすくなります。

ECの導入により、人的なアナログ業務が減少し、受注内容をECサイトで管理することで、誤発注や誤出荷を防ぐことができます。また、紙やコピー、押印、書類保管などのコストも削減できます。削減したリソースを新規顧客開拓や商品開発など他の業務に振り分けることが可能です。

新規顧客の獲得

オープンサイトやセミクローズドサイトを通じて、自社の商品情報を広く公開することで、新規顧客の獲得につながります。

Webカタログとしての効果があり、Web広告との連動により、商品や関連情報を探している企業を新規顧客として取り込める可能性があります。ECサイト経由の問い合わせ企業を見込み顧客として積極的に販促活動を行うことで、販路拡大が期待できます。

 BtoB-ECの2つのデメリット

1.導入コストの発生

BtoB-ECサイトの立ち上げには、システム導入費用がかかります。実運用までには、社内調整や業務フローの見直し、外部企業へのフォローなど、一定のコストが発生します。

2.既存顧客へのフォローの必要性

従来の方法で発注してきた既存顧客は、新しいECサイトでの発注に抵抗を示す可能性があります。ECサイトへの円滑な移行のため、マニュアル作成やデモサイトでの操作説明など、既存顧客へのフォローが欠かせません。

BtoB EC導入時の3つの注意点

BtoB ECは多くの導入効果が期待できる一方、導入時には注意すべき点もあります。導入を検討する際は、以下のような点に留意しましょう。

 既存取引先に利用してもらえるサイトの実現

BtoB ECサイトを構築しても、電話やFAXでのやり取りに慣れた既存取引先にECでの取引への移行を促す必要があります。

移行が円滑に進まない場合、業務が煩雑化するリスクがあります。この事態を避けるため、「在庫数や納期の簡単な確認」「いつでも好きなタイミングでの発注」など、取引先のメリットを訴求することが重要です。

また、既存取引先へのアンケートを実施し、ユーザーの要望を反映したECサイトを構築することも効果的です。

 導入後の業務フローの明確化

BtoB ECの導入により、従来のBtoB取引とは異なる業務フローが生じます。業務の効率的な運用のために、事業者とシステムベンダー間で「要件定義」を行い、サイトの要件や業務フローを明確にすることが不可欠です。

 セキュリティ対策の徹底

BtoB ECでは多数の顧客情報を取り扱うため、情報漏えい防止のためのセキュリティ対策が必須です。情報漏えいなどのトラブルが発生した場合、多額の損害賠償だけでなく、企業の信頼性にも影響を及ぼす可能性があります。十分なセキュリティ対策を講じることが極めて重要です。

BtoB-ECサイトにおけるよくある5つの課題

これからBtoB-ECサイトの導入を検討される方や、すでに導入されている方に知っておいていただきたい、よくある5つの課題を紹介します。

 独自の業務フローや商慣習による構築・リニューアルの負担

特に限定的な企業間取引を行うクローズドBtoB型のECサイトでは、固有の業務プロセスや取引慣行が存在するため、一般的なECサイトとは設計思想が大きく異なります。

そのため、このようなECサイトの開発には多大な時間と資金が必要となり、開発費用が数千万円から億単位に及ぶケースも少なくありません。

また、得意先や代理店ごとに業務フローが異なるケースもあり、要件定義で業務フローを十分に把握する必要があります。リリースまでに1年以上かかる場合もあり、その間に業務フローが変更されることもあるため、システム開発フェーズでも現場スタッフとの密なコミュニケーションが不可欠です。

 属人化した業務フローのECサイト化の難しさ

BtoBのECサイトでは、取引先ごとに業務フローや割引率が異なることから、担当者ごとに独自のノウハウやローカルドキュメントが存在します。これらの属人化したノウハウやドキュメントを事前に把握しないと、ECサイトの導入に失敗するリスクがあります。

このような場合、属人化した業務の棚卸しを実施し、業務内容をドキュメント化することから始める必要があります。担当者が業務の棚卸しに積極的でない場合は、業務効率化により空いた時間で売上向上に関与できるなどのコミュニケーションが重要です。

 ECサイトの使い勝手の悪さ

売り手の都合だけでECサイト化を行うと、使い勝手の悪いECサイトになるリスクがあります。使い勝手が悪いと、得意先のECサイト利用率が下がり、アナログの受発注方式に逆戻りしてしまい、業務効率化が進みません。

このような事態を避けるため、事前に得意先の担当者に管理画面のデザインを見せて意見を求め、それを反映させた開発が必要です。管理画面の使い勝手が良ければ、得意先のECサイト利用率が上がり、売上増加につながります。

 基幹システムとの連携におけるコストと労力

大手事業者の場合、ECサイトと基幹システムの連携が不可欠です。その際、単なるシステム連携だけでなく、「受注残管理はどちらのシステムで行うべきか」「取引先管理はどちらで行うべきか」など、機能の割り当てやデータ連携方法が課題となります。

変更が多い要件はECサイトで、変更の少ない要件は基幹システムで処理するのが望ましいでしょう。基幹システムの改修はコストが高いのに対し、ECサイトの改修は比較的安価です。受注残管理といったような固まった要件は基幹システムで、ECサイトは利便性向上に努めるのが賢明です。

 新システムを利用しない社員への対応

従来の受発注システムに慣れた社員や、ベテラン社員の中には新しいシステムに反発する声があります。

ある事例では、サーバー販売部門に新しい受発注システムを1年以上かけて導入したにもかかわらず、営業社員の多くが反発し、全社員が使うまでに半年以上を要しました。このような事態を避けるためには、ECサイト導入時に営業社員との意思統一を図りながら推進したり、現場リーダーの強い指導力が必要となります。

BtoB-ECサイト構築の4つの手法

BtoBのECサイト構築には主に以下の4つの手法があります。

1. ASP

2. パッケージEC

3. クラウドEC

4. フルスクラッチ

それぞれの手法について詳しく解説します。

 手法1:「ASP」による安価かつ迅速なECサイト構築

ASP(Application Service Provider)とは、ブラウザ上の管理画面でサービスを提供するSaaSシステムであり、手軽かつ低コストでシステムを導入できます。デメリットは各社独自のカスタマイズが難しく、基幹システムなどとの外部連携が複雑なことです。

ASPの大きなメリットは「システムが古くならない」ことであり、初期費用は数十万円、月額も数万円と自社開発よりもかなり安価にECサイトを構築できます。業務フローをASPに合わせられる場合、非常に費用対効果の高いECサイトを実現できます。また、多数のテンプレートデザインが用意されており、ある程度のデザインカスタマイズも可能です。

ASPの仕様が自社の業務フローをどの程度カバーできるか事前調査することが重要です。近年ではBtoB専用のASPサービスも提供されており、予算が限られていて基幹システムとの連携が不要な場合は、ASPの導入を検討すべきでしょう。

 手法2:「パッケージEC」のカスタマイズによるECサイト構築

基本的なEC機能が実装済みのパッケージECシステムを自社のBtoB-EC用にカスタマイズしてECサイトを構築する方法です。カスタマイズや基幹システムとの連携が前提であるため、費用は数百万円~数千万円が相場となります。パッケージECベンダーを選ぶ際は、自社の業務フローに対応したパッケージECや、自社に近いBtoBの事例を有するベンダーを選ぶことが肝要です。

カスタマイズが少ないほど開発費用・期間を圧縮でき、新規開発部分が少なければバグも少なく品質も高まります。パッケージ検討時は、ベンダーの事例を参考にすると良いでしょう。

パッケージのデメリットは、ECシステムが数年で陳腐化することです。開発期間が半年から1年以上かかるため、リリース時には古いバージョンになりがちです。BtoBのECサイトは複雑な開発が多いため、開発期間が長くなりシステムの陳腐化が生じやすくなります。

 手法3:「クラウドEC」のカスタマイズによるECサイト構築

ASPのデメリットであるカスタマイズの難しさを解消したのが、フルカスタマイズ可能なクラウドECです。システムが常に最新に保たれたまま、個社ごとの独自カスタマイズに対応できます。「ASP」と「パッケージ」両方の長所を兼ね備えているのが最大の特長です。

クラウドECのコストは、初期費用、月額ともパッケージとほぼ同等の相場感ですが、パッケージやフルスクラッチのECサイトは3~5年でシステムが古くなり、リニューアルが必要になります。一方、クラウドECはシステムが陳腐化しないためリニューアル不要で、中長期的にコストが安くなります。

BtoBのECサイト構築は大きな負担となるため、リニューアル不要なシステムを選択することは中長期的に大きなメリットがあります。ただし、クラウドはソースコードが非公開でブラックボックスになるため、ソースコード開示が必要な企業とは相性が良くありません。

クラウドECに関しては以下の記事で詳しく解説しているので、以下の記事も併せてご覧ください。

 手法4:フルスクラッチによるBtoBのECサイト構築

フルスクラッチとは開発会社に依頼して、ゼロからECサイトを構築する方式です。

最大の利点は、ECサイトを完全に自社用にカスタマイズでき、予算さえあれば全てを実現可能で、システム連携などを含めて最も拡張性が高い開発手法だということです。BtoBのECサイト開発では個社ごとの独自フローを実現する必要があるため、フルスクラッチとの相性は良いと言えます。

しかし、フルスクラッチは費用とコストが最もかかる開発手法であり、ECサイト独自のノウハウを知らない開発会社が構築すると、ユーザビリティが悪かったり、古いデザインになったり、最新のWEB施策が行えない可能性があります。

最近では、パッケージECやクラウドECのBtoB機能が強化され、BtoBの導入事例が増加しています。そのため、フルスクラッチ開発による柔軟性や拡張性の利点は以前ほど大きくありません。フルスクラッチ開発の場合、コストがかさむというデメリットが非常に大きな問題となってきていると言えます。

まとめ

BtoB-ECサイトの構築手法には、ASP、パッケージEC、クラウドEC、フルスクラッチの4つがあります。

ASPは低コストで迅速に導入できますが、カスタマイズや連携に制限があります。パッケージECはカスタマイズ可能ですが、陳腐化のリスクがあります。クラウドECはASPとパッケージの長所を兼ね備え、中長期的にコストが安くなります。

フルスクラッチは完全なカスタマイズが可能ですが、費用とコストが最も高くなります。近年、パッケージECやクラウドECがBtoB機能を拡張し、事例も増えてきたため、フルスクラッチのメリットは薄れつつあります。自社の要件や予算に合わせて、最適な構築手法を選択することが重要です。

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