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ユニファイドコマースとは?オムニチャネルやOMOとの違い、実際の導入事例も

2024/4/1
マーケティングEC・通販・ネットショップ

ユニファイドコマースとは、統合された商取引を意味しています。

ECサイトと実店舗から収集した顧客のデータを一元化し、個人に合わせたサービスを提供するマーケティング手法のことを指します。

ユニファイドコマースでは、顧客の属性(性別・年齢・氏名・住所)、モバイルでの検索履歴、ECサイト内の行動履歴、商品購入履歴など、ECサイトと実店舗で得られた顧客情報を統合した上で、ECサイト上で顧客一人ひとりにおすすめ商品を訴求するなど、「One to One」のアプローチが可能となります。

では、よく耳にするマーケティング手法である、オムニチャネルやOMOとはどのような違いがあるのでしょうか?

それぞれの違いについて説明していきます。

ユニファイドコマースとは?

ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、「顧客に関するあらゆる情報を一元管理し、一人ひとりに最適化された価値ある体験やサービスを提供するマーケティング手法」を指します。 ユニファイドコマースは、O2Oのようなオンラインからオフラインへの一方的なコミュニケーションや、オムニチャネルのような複数のチャネルの接点を活用する手法とは異なり、オンラインとオフラインの両方から収集した顧客情報を統合することで、一人ひとりに合わせた体験を提供します。 

ユニファイドコマースでは、氏名・住所・年齢などの基本情報、検索履歴、行動履歴、購入履歴、ポイント情報、アプリ利用情報など、ECや実店舗で収集した顧客情報をデータ化します。

そして、ECサイト上ではおすすめ商品や読んでほしいコンテンツを訴求するなど、情報に基づいて顧客ごとの「One to One」の接客を実現できます。 また、実店舗でユーザー情報を活用する際は、来店時にスマートフォンアプリやショップカードなどを通じて情報を取得します。そして、スタッフが基本情報、購入履歴、頻繁に来店する店舗、ポイント数などの情報を把握した上で、顧客に合わせた対応を行います。

 ユニファイドコマースに該当する具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。 

  • 『以前に店舗でハンドクリームを購入したデータがあるユーザーに対し、使い切るタイミングでECサイトや定期購入サービスを案内するメールマガジンを配信したり、別の香りのハンドクリームを紹介するなど、ユーザーに合わせた提案を行う』
  •  『店舗で革靴を購入したユーザーに対し、商品のメンテナンス方法やおすすめのコーディネートを紹介するコンテンツの提供、ECで購入可能なメンテナンスグッズの案内を行うサンクスメールを送付する』
  •  『アパレル店で、店舗とEC両方の購入履歴や来店日・問い合わせ・試着商品などの行動履歴、接客スタッフ情報などの情報を統合した会員データベースを構築し、接客時の案内・体験に活かす』

ユニファイドコマースが注目を集める理由

スマートフォンやSNSの普及、ライフスタイルの変化などにより、オムニチャネルやマルチチャネルのように実店舗とECなど複数の販売チャネルを活用する企業が増加しています。 

その結果、企業間の競争がこれまで以上に激化し、ユーザーに商品を購入してもらうためには、従来の画一的なマーケティング施策から脱却し、顧客一人ひとりに合わせた施策を実施することが求められるようになりました。

 顧客体験を向上させるためには、チャネル間でデータを連携させることが不可欠です。もし、店舗とECで相互に顧客情報が紐づけられていないと、店舗で購入済みの商品が何回もECサイト上でおすすめ商品として表示されるなど、ユーザーにとって適切な情報が提供されない可能性が高くなります。

 そのような中、ECや店舗など複数の販売チャネルの情報を統合しながら、顧客ごとにマッチした情報やサービスを提供できるユニファイドコマースが注目を集めているのです。

ユニファイドコマースとO2O、OMO、オムニチャネルなどとの違い

ユニファイドコマースと概念が近いものとしては、主に以下のようなキーワードが挙げられます。

・O2O

・OMO

・オムニチャネル

・One to Oneマーケティング

これらのキーワードの意味と、ユニファイドコマースとの相違点について説明いたします。

①O2Oとユニファイドコマースの違い

O2Oは「Online to Offline」の略称で、ネットを活用して実店舗への来店を促進する手法を指します。例えば、SNSやメルマガなどを通じてセール情報を顧客に伝達し、その情報を元に実店舗への来店を促します。

ただし、O2Oはあくまでもオンラインからオフラインへという一方通行の流れを指したものです。ユニファイドコマースはそのような流れに限定されず、顧客に対してより多角的な価値提供を実現するものです。

②OMOとユニファイドコマースの違い

OMOは「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインの一体化を意味します。オンラインとオフラインを区別せずにマーケティングを実施することで、「ユーザーの利便性」を高めることを目的としたものです。

基本的なコンセプトはユニファイドコマースと類似していますが、ユニファイドコマースは「顧客体験の充実・向上」を目的としているため、よりきめ細かな概念といえます。

③オムニチャネルとユニファイドコマースの違い

オムニチャネルとは、企業が保有するECサイトや実店舗などのチャネル(経路)を一元化することを指します。それにより、どんなチャネルからでもシームレスに購入できる環境を提供することが可能となります。

ユニファイドコマースも「オムニチャネルのデータ統合」を基盤としていますが、顧客一人ひとりに合わせて最適なアプローチを行うという概念は、オムニチャネルには含まれていないのが大きな違いです。

④One to Oneマーケティングとユニファイドコマースの違い

One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりの属性や行動履歴などを基にマーケティング活動を行う手法のことを指します。

顧客に対するアプローチという点では、ユニファイドコマースに似ているといえます。ですが、One to Oneマーケティングは「複数チャネル間の統合」という側面は特に含まれていないのが大きく異なる点です。

ユニファイドコマースが重要視される背景と理由

ユニファイドコマースが重要視される大きな理由としては、「一人ひとりに合ったマーケティングが求められるようになった」ことが挙げられます。

スマートフォンやSNSの普及により、カスタマージャーニー(顧客が商品と出会って購入するまでの過程)は非常に複雑化しました。従来のような画一的なマーケティングでは、リーチできるユーザーは限られてしまう上に、一人ひとりの細かいニーズに対応することは困難です。

ですが、ユニファイドコマースであれば「さまざまなチャネルから訪れたユーザーに対し、最適な情報やサービスを提供することで、購入体験を向上させる」ことが可能となります。結果として、商品の購入やリピーター獲得に直結しやすく、さらなる売上の増加が見込めます。

また、ECサイトの数は年々増加しており、多くの競合プレイヤーの中から「ユーザーに選ばれる」ためには、これまで以上に一人ひとりのユーザーを大切にする必要があります。

このように市場の競争が激化している状況も、ユニファイドコマースに注目が集まっている背景の一つといえるでしょう。

ユニファイドコマースによって実現可能なことと2つのメリット

ユニファイドコマースのマーケティング手法を採用することで、もたらされるメリットや実現可能なことの範囲も拡大します。

ECサイトと実店舗の一貫した購買体験が可能となるため、売上向上効果や顧客満足度向上といった成果が期待できます。

それでは、どのようなメリットや実現可能なことがあるのかを解説していきましょう。

  • 一人一人の顧客に合わせたマーケティングが実現可能
  • 商品の購入率が向上する

一人一人の顧客に合わせたマーケティングが実現可能

ここまでで何度か説明してきましたが、ユニファイドコマースは情報の一元化を目的としています。

そのデータの分析結果を基に、顧客一人ひとりに最適なアプローチやサービス提供が可能となります。

例えば、顧客がオンライン上でECサイトから洋服を購入したとします。

その後日に、購入したサイトの実店舗を訪れた際に、仮にその場所が初来店の場所でも、ユニファイドコマースを導入することで顧客がECサイトで商品を購入していることが分かるようになります。

そのため、初めて来店された顧客に対しても、「いつもご利用ありがとうございます」と声掛けができます。

このように、顧客によりよい接客やサービスの提供が可能になるという仕組みです。

商品の購入率が向上する

ECサイト拡大において重要なのは、リピーターを獲得し購買率を上げることです。

売上のほとんどは新規ユーザーではなく、リピーターによって成り立っています。

ユニファイドコマースは、顧客に対し「One to One」の接客を行うことで、信頼度が上がり商品の購買率が向上します。

そこからリピーターも増加するため、ECサイトの売上拡大にはユニファイドコマースの導入がおすすめです。

ユニファイドコマースの導入事例

すでにユニファイドコマースを導入し、成果をあげている企業があります。

それでは実際に、ユニファイドコマースを導入している企業を見ていきましょう。

株式会社インターメスティック

眼鏡ブランドとして知られる「zoff」を展開する「インターメスティック」は、実店舗に訪れなくてもオンライン上で眼鏡を選べるサービスを導入しました。

スマートフォンで顔写真を撮影し、AIが分析することで様々な商品の眼鏡試着が可能となります。

気に入った商品があれば、その場でオンライン購入ができます。

このような施策を行うことで、店舗に訪れない顧客にも満足のいく購買体験が可能となっています。

三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスは、全国規模で百貨店を運営する企業です。ECサイトのローンチ当初は、あくまでも実店舗を補完する目的で運営していましたが、ユニファイドコマースの導入にともない、実店舗と同等の顧客体験を実現できるサイトへと生まれ変わりました。

2020年6月のリニューアルでは、デジタルカタログの拡充やオンライン接客の追加も行っています。シームレスな体験の提供により、顧客満足度の向上につながっています。

株式会社ベイクルーズ

ベイクルーズは、輸入衣料品やオリジナルの衣料品・雑貨などを販売している企業です。

オムニチャネルだけでなく、ユニファイドコマースを取り入れたことで、510億の売上高のうち自社EC売上は390億(自社ECシェア77%)に達しています。

売上高は毎年伸びを見せ、ここ3年間では1.9倍の成長を遂げています。

株式会社ワコールホールディングス

ワコールは、女性用下着を中心に販売している企業です。2004年からECサイトを運営しており、同業他社と比べてもEC率は低くありませんが、ECに偏るのは得策ではないと考えていました。そこで注目されたのは、リアル店舗のデジタル化です。

パーソナライズ化したサービスを提供するアプリのリリース、3Dボディスキャナーの開発により、新しい顧客体験を生み出しています。ボディスキャナーは150万点のデータを分析し、AIによる提案まで可能にしています。

TSIホールディングス

TSIホールディングスは、50以上の人気ブランドを展開している大手のアパレル企業す。

TSIホールディングスもオムニチャネル展開を進めており、最近ではユニファイドコマースを導入しました。2021年3月には、オンラインでの試着予約を開始しました。

顧客はオンライン上で試着したいアイテムや店舗、さらに接客対応のスタッフを指定して、来店することが可能となっています。顧客満足度が非常に高まり、試着アイテムの購入率は8割ほどに達しているそうです。

株式会社トーキョーバイク

スタイリッシュな自転車を販売する中堅企業の「トーキョーバイク」も、ユニファイドコマースを推し進めています。

実店舗で自転車に試乗し乗り心地を確かめても、1台あたり800ドルもする自転車をその場で購入できる人は少ないでしょう。また、実店舗から自宅までの距離も購入のハードルを上げる要因の一つでした。

そこでトーキョーバイクは、店舗で購入しなかった来店客に対し、オンラインアカウントやカート情報を自動的にメールで送信するようにしました。来店客がメールをチェックすると「店舗で選んだ商品」がすでにカートに入っている状態になっています。

​​これにより、購入の準備ができたらすぐにオンラインで購入することが可能です。その結果、導入後半年間の売上は、前年比で2倍に増加しました。

株式会社カインズ

全国に200以上の店舗を展開するホームセンター「カインズ」は、オンラインとオフラインをシームレスに連携させた新たな購買体験の提供を目指しています。

具体的には、「店舗が広くて商品の位置が分からない」「わざわざ来店したのに在庫がない」などの課題を解消するために、コンシェルジュのような役割を果たす「CAINZアプリ」をリリースしました。

オンラインで商品の売り場や在庫数をすぐに確認できるようにすることで、より便利に商品を購入できるようになりました。商品をあらかじめ注文し、店舗の専用駐車場に車を停めれば、スタッフが車まで商品を運んでくれるサービスもあります。

さらに、CAINZアプリで会員の行動履歴データを収集・分析し、その内容をもとにキャンペーン施策を実施しています。その結果、売上の増加や会員数の拡大につなげることができました。

特にアプリ会員数に関しては、機能の強化を重ねることで、約50万人から約150万人まで増やすことに成功しています。

ユニファイドコマースを導入する際によくある3つの課題

ユニファイドコマースには数多くの利点がある一方で、いくつかの課題も存在しています。

そこで、ユニファイドコマースの中でも特に「コンテンツ配信」の分野に焦点を当て、主要な課題を3つご紹介します。

  • ECサイトと実店舗などのデータを適切に統合するのが難しい 
  • 顧客を詳細にセグメント化できず、一人ひとりに合わせた配信や提案ができない 
  • 個々の顧客にマーケティングを行うために必要なコンテンツが不足している

それでは、順を追ってみていきましょう。

①ECサイトと実店舗などのデータを適切に統合するのが難しい

これは、ユニファイドコマースの基盤となる「オムニチャネル」に関連する課題だといえます。

コンテンツを個々の顧客と結びつけるためには、十分なデータが不可欠です。そのため、ユニファイドコマースではオンラインとオフラインを問わず、顧客から収集した情報を統合していく必要があります。

つまり、「各システムやツール間でのデータ統合」が重要なポイントとなりますが、互換性やコストなどの問題から、思うように統合できないケースも見受けられます

②顧客を詳細にセグメント化できず、一人ひとりに合わせた配信や提案ができない

データの統合がうまくいき、十分なデータが揃ったとしても、それらのデータを組み合わせて「コンテンツ配信先のターゲット(顧客)」を細かく分類できないことがあります。

その結果として、一人ひとりに合わせた提案ができなくなってしまうのです。

③個々の顧客にマーケティングを行うために必要なコンテンツが不足している

「顧客に合わせて情報やサービスを提供する」ということは、言い換えれば、それだけ多岐にわたるコンテンツを準備しなければならないということです。

そのため、コンテンツが不足していると、個々の顧客に最適な提案をすることができません。

では、これらの課題を踏まえて「ユニファイドコマースを成功に導くには」どのような対策を講じればよいのでしょうか。次の項で解説します。

ユニファイドコマースを成功に導くポイント

ユニファイドコマースを成功させるためには、まず「ユニファイドコマースを推進するための基盤を適切に整える」ことが重要です。

具体的には、ECサイトと実店舗などのデータ統合がスムーズに行えたり、顧客を細かくセグメント化できる機能を有したりしているシステムを選択することで、その後の運用がかなり円滑になります。

なお、データ統合の際は以下の点に留意しておくとよいでしょう。

  • 会員データの連携を行う 
  • ポイントを統合する 
  • 在庫情報を一元管理する 
  • コールセンターでの過去の接客履歴を蓄積する 
  • 店舗受け取りを実現する

また、あらゆるチャネルで顧客に最適なサービスや情報を提供するためには、ECサイトや店舗に関わるスタッフ全員の協力が不可欠です。コンテンツの作成やデータの入力・蓄積なども含めて、全社一丸となって取り組むことが肝要なポイントとなります。

まとめ

ユニファイドコマース(Unified Commerce)は、顧客から収集したデータを一元化し、それぞれのニーズを分析することで、個人に合わせたサービスの購入体験を提供するマーケティング手法を指します。

現在、ユニファイドコマースはオムニチャネルやOMOに続く、注目度の高いマーケティング手法となっています。

数多くのECサイトが存在する中で、ユニファイドコマースを取り入れている企業はまだ少数派です。

競合他社に差をつけるためにも、ぜひともユニファイドコマースの導入をご検討ください。

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